【コラム】森の中でも怖くない

森の中でも怖くない: フユコ・サワムラ・トヨタが語るiRestによるうつ病との上手な付き合い方と世界を癒しに導くことについて

iRestシニアトレーナーおよびアジア・オセアニア地区のディレクターを務めているフユコ・サワムラ・トヨタさんは、20年間以上、ヨガと非二元の道を歩んできましたが、その道のりは必ずしも順調というわけではありませんでした。現在オーストラリアで暮らす日本生まれのフユコさんは、うつ病に必死に立ち向かいながらも自分の道を発見し歩んできました。

2007年に共通の友人を通してiRestの開発者であるリチャード・ミラー博士(現在は彼女のメンターでもあります)を紹介され、そのおかげでフユコさんは深い目覚めの体験をしました。「iRestを実践して以来、私は自分の全体性を否定の余地ないほどに、深く認識できるようになりました。」と述べ、更に「ゆっくりとではありますが氷が解けるように、しっかりと生きているという実感が戻ってきました」ともフユコさんは語ってくれました。

今回のインタビューでは、フユコさんがどのようにiRestを使ってうつ病を克服したかを紹介しています。フユコさんはその後、オーストラリア、ニュージーランド、日本、アジア各国でiRestのトレーニングやセミナーを開催し、多くの人々に教えるようになりました。

iRestに出会ったきっかけを教えて頂けますか?

私がiRestに出会ったのは、この教えがiRestと呼ばれるようになる前の2005年か2006年頃でした。私のヨガの師であり、リチャードの友人でもあるドナ・ファーヒは、私にリチャードの最初の著書である「ヨガ・ニドラ:深いくつろぎと癒しのための瞑想法」を読むよう勧めてくれました。
ドナは私がとても人生の辛い時期の真っ只中にいることを知っていました。私は長期にわたる慢性的なうつとPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦闘していましたから。その時すでに私はヨガの教師をしており、ヨガをすることで正気を保てていたのだと思います。しかし、自分の中に感じていた深い傷を取り去ることはできませんでした。自分の人生に不満を感じ悲しい気持ちを抱え、自分は生気のない日々を生きていた感じです。

iRestはあなたの人生にどのような影響をもたらしましたか?

iRestは、私に本当の自分を認識し再発見させてくれ、深い癒しをもたらしてくれました。今ではもう過去のトラウマに囚われてはいません。もうトラウマに支配されてはいないのです。過去に全く囚われず、人生の喜びや悲しみをすべて受け入れることができます。

以前インタビューで、iRestを実践することでうつ病とうまく付き合えるようになったとおっしゃっていましたが、それについて詳しくお話しいただけますか。うつ病とうまく付き合おうとしている人にとって、iRestはどのように役立つのでしょうか。

うつ病が自分の周りの世界に対する見方や関わり方に影響を与えていたということが、今ではわかります。これまでは、自分が感じたり考えたりしていることは、私そのものという存在と全くイコールだと信じていました。私はとても傷ついていて、壊れている、価値のない人間だと考え信じていたわけです。自分を直して、元に戻す方法をずっと探していたのです。
それまでやっていたヨガと瞑想のおかげで、日々の仕事や生活ににおいては、どうにかうつ病とうまく付き合つつ暮らすことができました。しかし、自分自身の中で、何処か自分は間違っている,何かおかしいという思いは根強く残っていました。
それで、リチャードのCDと本のヨガ・ニドラを試してみることにしました。最初の1週間で、自分の中で何か変わっていっていること、そしてムードの変化に気づきました。練習を続けているうちに、「リチャード・ミラーに会わなきゃ」と、「もっとこれを学ばなければいけない」という強い気持ちが沸き起こりました。

iRestに助けられてからというもの、自分の全体性を疑いの余地なく深く認識できるようになりました。ゆっくりとではありますが確実に、氷が解けるように、生きているという実感が戻ってきました。今では、生きているだけでなく、人生を謳歌しているとさえ感じています。

私にとってiRestのツールであるインナーリソース(内なる平和)は、安心感をもたらし、自分の中に安全な場所や聖域があると知る上でとても重要なキーとなりました。私はよく子供のころの話をたとえ話として使います。家族でキャンプに行くことがあって、夜中にどうしてもトイレに行きたくなったときに、兄を起こして「一緒に外に出て近くに立っていて」と頼んだものです。真っ暗で怖い森の中にいても、そうすれば大丈夫、安全だと思えたのです!
私はうつ病への対処の仕方は人それぞれであると思っており、どのような方法も尊重します。いずれにしても、iRestはシンプルなガイド付きの瞑想で、必要な深い休息と活力を取り戻すのを助けてくれます。

うつ病で苦しんでいる方に何かアドバイスはありますか。

友人でも専門のセラピストでも構いませんから、他の人に助けを求めることが大切です。それは確かに難しいことかもしれません、ですがあなたは一人ではありません。あなたをサポートしたい、助けたいという人はたくさんいます。私はそれに気付くのに時間がかかりました。昔は、失敗者や弱い人間のように助けを求めることは恥ずべきこと感じていました。しかし、私はすぐに、弱いということは決して悪いことではないということがわかりました。勇気は弱さを感じ受け止めたからこそ出てくるものです。だから、勇気を出して助けを求めて手を差し伸べようとする時に弱さを感じるのは、当たり前のことなのです。
iRestには、二人瞑想あるいは’聖なる鏡’の瞑想と呼ばれる、他の人と一緒に行う瞑想があります。私はこの瞑想は非常にパワフルで大きな変化させる瞑想法だと実感しています。この二人瞑想では、無条件に聞くことや、受容ということが自然に起こります。これは驚くほど深い瞑想と癒しの方法を1つにまとめたもので、うつ病などに効く強力な治療薬となることでしょう。

レイチェル・ナオミ・レメンは「相手の言葉に耳を傾けることは最も古く、強力な癒しの方法です。多くの場合、言葉による知恵ではなく、きちんと聞いてあげることで周囲の人々に最も深い変化をもたらすことができます」と書いています。ですから、癒しが必要だと感じた時は、聞き上手な人を探してみてください。二人瞑想を試してみたいと思われる方は、iRest協会に連絡するか、協会のサイトでiRestの教師のリストを調べてみてください。

最後に、iRestをすでによく知っている人は、インナーリソース(内なる平和)というツールを思い出してみてください。どれだけ辛い思考や感情が浮かんできたとしても大丈夫だと思えるようになるはずです。少しずつ何度でも、感じて、感じて、と繰り返し続けていくことで、徐々にそのように感じてくるでしょう。

あなたに最も影響を与えた先生は誰ですか。その理由もお願いします。

間違いなく、リチャード・ミラー先生です。その豊富な知識と知恵を惜しみなく誰にでもシェアしてくださることに感謝しています。彼はとても親しみやすく、温かくて誠実な方です。私は「すべてを愛し、すべてに奉仕する」の原則を信じ、実践するよう心がけているので、私は特に彼の人道的な心に共感し、惹かれます。

最近、iRestの教えを日本語に翻訳するというエキサイティングな新プロジェクトのためにクラウドファンディングをされたようですが、そのことについて詳しく教えていただけますか?何が重要なのでしょう、そしてこのプロジェクトの目標は何でしょうか。

iRestの認定教師になるための資格を取得しようとしていたとき、私はこの教えを私の故郷となったオーストラリアと私の同胞である日本人に広めたいと強く思いました。それが、私の心からの願い、つまりサンカルパの一部となったのです。
日本はストレスと過労の国です。日本語には「働き過ぎて死ぬ」という意味の「過労死」という言葉があるのです! また、2011年に東北地方を襲った大きな地震と津波で多くの人が命や家を失い、その苦しみはいまだ続いています。地震に襲われるという絶え間ない脅威にさらされ、うつ病やPTSDなどの精神的、感情的な大惨事が起きています。
このクラウドファンディングは、私も支援している日本の出版社が立ち上げてくださり、大きな成果をあげ、リチャードの本「ヨガ・ニドラ」の翻訳出版ができました。
翻訳を完成させるために、本に付随した日本語のiRest瞑想をレコーディングするために、そして私の命を救ってくれた本をこうして紹介するために、私の時間と技術を提供することができて、とてもうれしく思っています。この本はきっと、以前の自分のように苦しんでいるかもしれない親愛なる日本の方々も救ってくれることでしょう。このプロジェクトをサポートしてくださったリチャード・ミラー先生、田口さん、佐々木さんと私の友人たちに全ての人々に感謝しています。

あなたは世界中でiRestを教えてきました。地域によって受講者の反応に違いがあると思いますか。逆に、変わらないものは何でしょうか。

文化的背景によっては、最初に不安が生じることもあるようです。しかし、この最初の不安は、iRest瞑想で感情や信念を迎え入れていくことで解消されます。

私が育った日本の文化では、自分の気持ちや感情を表さない人を尊重し、尊敬する傾向があります。これは侍や武士道の精神から来ていると思います。しかし、自分の中で起る様々なことや、自分の感情を迎え入れることは、強さであると一度理解するようになれば、どうすれば感情や信念という呪文を超えられるかが分かり、私達は自分が如何にパワフルな存在であることかを再発見するでしょう。

ニュージーランド、インドネシア、香港、タイ、日本、オーストラリアなど私が教えている国がどこかに関係なくすべての人々は、自分を見てほしい(理解)、聞いてほしい(認識)、繋がっていたいという人間の基本的な精神的なニーズがあることに気づきました。私がiRestを教えたりしていると、程度の差はありますが、このことが何処の国んの方であっても全ての人が実感するようです。とてもすばらしいですよね!

 

iRest協会サイトより 翻訳の上掲載

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